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しずかにまわれ

浴室の換気扇の調子が目に見えて悪くなっていた。ことしに入るか入らないかの頃からだった。
動作音がやたらとガタガタうるさくなり、更に調子が悪いと換気扇がゆっくりとしか回らない。ひどいときにはストップしてしまうようにすらなった。

大家にあたる不動産会社に相談したところ「設備の故障修理については、たとえ経年変化が原因であっても借主の負担になります、そういう契約でご入居いただいたはずですよ」と言われた。なんかすごく高くつきそうだな、と思ったとたんに不調だったファンがくるくると回りだしたりして「あんたも現金やなあ」と呆れたこともあった。笑
ということで、調子が悪くなる都度ファンを内側から可能な限り掃除してみたり、手でファンを回転させて勢いをつけたりして、だましだましどうにかしてきた。

その頃から、ご自分で換気扇を分解清掃された方のサイトや、ハウスクリーニング業者のオフィシャルサイトなどを調べまわっていた。それらのサイトで扱っていた換気扇は、ユニットごと取り外してから分解清掃する仕組みになっているものが多かった。が、わが家の風呂場の換気扇は少し構造が違うらしく、どこから手をつけていいのかわからない。

だが、このGW明けになってとうとう限界がきてしまった。
そもそも指で回してもファンが回らないという事態に陥ってしまったのだ。
これはとうとう換気扇交換の日がきたのだろうか。

…と思ってふと換気扇がついている天井裏の鉄の箱を見上げてみると、鉄の箱の天井部分にねじ止めがあるのを発見した。

あのねじが外せるなら、もしかして分解清掃ができるんじゃないだろうか!

まず、電源ユニットらしきもののねじを外す。
それから、鉄の箱とカバーとを束ねているねじを4つ外す。もちろん、ねじはなくならないように、手桶の中へ転がしておく。狭い空間にドライバーを突っ込んでくるくる回すのは多少面倒ではあったものの、想像したほど難しいものではなかった。
そして外れたのは、風呂場→ファン→ダクトの空気の流れを作り、なおかつファンを保護しているカバーだった。わが家の風呂場の換気扇はカバー、ファン、モーターユニットがそれぞれ別々に取り外せる構造になっていたのだ。

カバーの色が鉄の箱と似ていたうえ、汚れていて質感がよくわからなかったため、カバーを鉄製だと勝手に決めてかかっていたが、実際取り外してみるとプラスチック製だった。入居後一度も、いやその前にお住まいだった方も一度も掃除していないかもしれないカバー。内側が黒い土のような汚れで覆われていた(!) 少なくとも12年はお掃除していなかったのだから当然といえば当然なんだけど。プラスチック製なので遠慮なくシャワーでじゃぶじゃぶ洗い流し、雑巾でよく水気をとる。

そして、ナットを外してファンを取り出す。ファンは底部がモーターユニットを収納するために彎曲したカップ状で、周りにぐるりと風を発生させるスリットが入っている。これも取り付けられた状態のままで風呂場の内側からブラシでごしごしするくらいしか手入れをしていなかったので、特に外側はカバーと同じく黒い土状の汚れでいっぱいになっていた。
本来は上靴を洗うのに使っているブラシで、スリットの部分をよくこすって洗い流す。

最後に、モーターユニット。これは取り外さないことにした。
というのも、モーターユニットを天井(正しくは鉄の箱)に取り付けてある6つのねじとは別に、ユニットの表面にもねじが一つついていたのだが、このねじの表面に「素人は分解禁止」といわんばかりにホットボンドかなにかでシールがしてあったからだ。
そこで、ヘタにユニット内部に手を出すのはやめて、取り付けられた状態のままでできるだけのことをしようと決めた。

まず、モーターユニットだけの状態で通電する。すると、ユニットから生えているシャフトが… 回ってない! これはひどい。
そう思ってシャフトを手でも回そうとするが… なにこれ、固っ!
この状態のままならば、ほんとうに大家さんに連絡して換気扇まるごとハウマッチ!である、実際あちらこちらの業者様のサイトなど見ていると、3万円かそこらはかかりそうだ。
そこで電源を切り、「だめもと」でシャフトの根っこ部分に KURE 5-56をよくふりかける。
更に、手でシャフトがスムーズに回るようになるまで5-56をなじませた。再び通電してみる。

シャフトは勢いよく回りだした!

ひとりサムアップして(笑)ファン、カバーを元通り取り付ける。
多少きしみ音はあるものの、清掃前よりははるかに騒音はましだし、換気扇は順調に回っている!

しかしその日の夜になってみると、やはり換気扇がめちゃくちゃうるさくなりだした。
更に翌朝には換気扇が時々スピードダウンすらしている…

そういえば、5-56で手入れしたことを夫に話したとき
「本当は5-56みたいなさらさらの油より、グリスみたいなねばねばしてその場に留まるような油がええねんけどな」
といっていたのを思い出した。
更に、ご自分で分解清掃された方も、

ファンモーターの軸受けにはスプレー式の細ノズルでモリブデングリスを根気よく注入していく。

(「ユニットバスの換気扇メンテナンス」@Saitolab 「なにもせんほうがええ」より)
とおっしゃっていたような。
これはやはり、それなりのグリスを買ってきてシャフト部分になじませるのが正解か。
それでだめならもうプロに頼もう。うん、そうしよう!

善は急げ、ということでバスに乗ってホームセンターに行き、ホームセンターオリジナルの安いスプレーグリス(と、その他必要な生活用品)を買って帰ってきた。「モリブデングリス」というキーワードを覚えていたので、成分に二硫化モリブデンが含まれていたのも確認して。
あと、回りはするけど騒音が… というときのために、鉄の箱とモーターユニットの間にゴムをはさむことも検討して、安いゴムシートを1枚、一緒に買って帰ってきた。

そして先と同じ要領で換気扇を分解し、モーターユニットを露出させる。
違うのはカバーとファンの汚れがひどくないので丸洗いはせず、ほこりを払う程度にしたことと、シャフトの根っこになじませるのがKURE 5-56ではなくスプレーグリスであること、だけだ。
何度かグリスをしゅぱしゅぱっとスプレーする。手でシャフトを回転させたり、更に通電してシャフトだけをビーンと回してグリスをなじませる。
風呂場に様子を見にきた次女が、通電しても軸が回っているのかいないのかわからない、と言った。でも、ファンの取り付けのために一部が直線状に欠けた円形になっているはずのシャフトが、通電してみるとちゃんと丸く見えるのだ。

今度こそ、とファンとカバーを元通りに取り付け、電源を入れてみた。機械のひっかかるような異音はまったくせず、風の吸い込まれるごうという音だけがひたすらしている。そのパワーも以前より心なしかアップしているような気がして嬉しくなった。
そこで一度風呂場でお香をたいてみた。香がなくなるころに再び風呂場に入ってみる。煙はまったく残っていない。透明な空気の中に、香りだけが残っていた。

それから30時間以上経つが、幸い換気扇はあのままずっと静かに回り続けている。
一応、モーターユニットの根っこ部分に合わせてゴムシートはカットした。
しかしいまのところ、その出番はない。

コメント (2)

そういう時は「浦和の営繕課長(=わし)」を呼んでくれれば良かったのに(^^ゞ
そういやもう10年近く箱根より西には行ってないな。。。

冗談はさて置き、5-56は錆や汚れと一緒に元々付いてたグリースも溶かしてしまう為、金属パーツの摩耗に拍車をかけます。
使った後はたっぷりグリースをなすっておくのが基本であるです。
以前5-56まみれにしたボロ自転車を修理に出した時、↑の話をされたあげく、自転車屋のおやじにこっぴどく叱られました(^^ゞ

営繕課長っすか。笑
これはまた何かDIY関係で困ったことがあったら相談に行くとしますかな。

そう、今回の一件でわたしも学習したのですが、5-56は潤滑剤じゃなくて洗浄剤なのねん。
化粧品にたとえれば5-56は化粧水や乳液ではなくて洗顔料に近いもの。洗顔後の保湿ならぬ可動部(not 華道部)の潤滑はグリスの役目なわけですな。
またひとつ賢くなったであります。

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