落花盛んな桜並木の下を歩く。
風に煽られて無数の花びらが散っていた。積もった花を蹴散らしてハトが飛び立つ。
そういえば昔の有名な歌人が「死ぬなら桜の季節がいい」と詠っていたような記憶があった。こんな風景の中にいると、その気持ちもほのかにわかる気がする。
さて、その「昔の有名な和歌」というのを調べなおしてみた。
これこれ、確か高校で習ったっけ。
願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月の頃 西行
「そのきさらぎの望月の頃」とは、お釈迦様が入滅された旧暦2月15日という意味があるのだとか。
これを詠った数年後、西行法師はその1日違いの旧暦2月16日にお亡くなりになったそうだ。
ところで、わたし自身は葉桜が萌え始める季節の生まれだ。
だから「桜の季節に一緒に散りたい」気持ちも理解できる一方で、誕生日は迎えてから死んだほうがいいかなあ、なんてことも考える。喜寿傘寿米寿卒寿白寿、どこまで迎えられるかは知らないが。
少なくとも、なるべくなら明後日とか来年とかいうのはご勘弁いただきたい。
* comments *