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一卵性双生児

最近読んだ2冊の本で、普通なら「着」という字を使いそうなところに、「著」という字が書いてある例を相次いで見つけました。
ひとつは仏教関係の本で「執著」、もうひとつは奈良時代を舞台にした物語の中の「著物」。誤植かと思って見直したら、同じ言葉を使っているほかの部分でも全部そんなふうに書いてあるじゃないですか。
いままでそんな用法は見たことがなかったけど、これらが正しいものとして使われているところをみると、どうも「着」と「著」の間にはなにやら深い関係があるっぽい。そのあたりを、手元の漢和辞典で調べてみたでありますよ。

【着】

[解字] 形声。もと、「著 チョ・チャク」の異体字。のちに著 チョ と 着チャクとを区別して、着は「きる」「つく」などの意に用いられるようになった。(以下略)

(集英社 「新修 漢和広辞典」第一版第七刷[1991年]より/画数・音訓の説明等は略しました)

あらあら、「著」と「着」はもともと同じ文字の異体字だったのが、のちのち意味まで使い分けられるようになったってわけね。

で、個々のことばについて更に調べてみると、日常語では「執着」と書いて「しゅうちゃく」と読む一方、仏教用語では「執著」と書いて「しゅうじゃく」と読むのが普通、のようです。
わたしが読んだのは仏教関係の本だったので「執著」と表記するわけですね。

一方「著物(きもの)」のほうは、おそらく奈良時代が舞台ということで、「著」と「着」が分化する前の表現であることをイメージしてその表記を選んだのでしょう(実際に作品が発表されたのは昭和初期)。さすがにこの表記は現代語では普通使いませんので、この記事中に「著物」と書くにあたっては「ちょさくぶつ」と打って変換して「作」を消してました。著作物と著物(着物)、全然ちゃいまんがな。えへへ。

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